感想・書評

『名著講義』藤原正彦の感想 お茶の水女子大学の偏差値が気になって調べた

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お茶の水女子大学での藤原正彦の講義を書籍化した『名著講義』を読んでいて

お茶の水女子大学って頭悪いのか?という疑問が湧いたので偏差値をネットで調べてみた。

ところがお茶の水女子大学というのは名門大学のようで難易度が高いらしい。

偏差値が文学部で60~70ぐらい。

内村鑑三『代表的日本人』で紹介されている人物を知らない!

名著講義』では以下の書籍が取り上げられている。

・新渡戸稲造『武士道』
・内村鑑三『余は如何にしてキリスト教徒となりし乎』
・福沢諭吉『学問のすゝめ』
・日本戦没学生記念会編『新版 きけわだつみのこえ』
・渡辺京二『逝きし世の面影』
・山川菊栄『武家の女性』
・内村鑑三『代表的日本人』
・無着茂恭『山びこ学校』
・宮本常一『忘れられた日本人』
・キャサリン・サンソム『東京に暮らす』
・福沢諭吉『福翁自伝』
・藤原正彦『若き数学者のアメリカ』

 

最後まで読むといろいろと気になるところはあるけれど

一番驚いたのが内村鑑三『代表的日本人』に取り上げられている5人の日本人のうち

「1人しか知らない」「全員しらない」という学生がいたこと。

難関校といわれているお茶の水女子大学の学生なのに!

 

その5人とは。
・西郷隆盛
・上杉鷹山
・二宮尊徳
・中江藤樹
・日蓮上人

 

まぁ。中江藤樹を知らないのはヨシとしよう。
二宮尊徳も日教組の思惑で(?)学校から二宮尊徳像が撤去された結果でやむなしかもしれない。
でも、西郷隆盛、日蓮ぐらいは聞いたことあるでしょう。

西郷隆盛は大河ドラマに何度も出てるし、日蓮はあの創価学会が尊敬してやまないお坊さん。

この二人すらしらないお茶の水女子大学の学生というのは

大学に合格するためだけの勉強をして教養が欠如しているのか本を読まないのか疑問は残る。

『名著講義』に収録された年の学生がたまたまそうだった可能性もあるけどそれにしても驚いた。

日本戦没学生記念会編『新版 きけわだつみのこえ』 の偏向編集

『新版 きけわだつみのこえ』は『名著講義』で紹介されているぶぶんだけでも胸を打つものがあったけれど

「戦争謳歌にちかいような手紙は採録されなかった」ということや手紙文の一部削除が編者により行われたらしいということを知り

書籍といえども背景を知らないと誤解してしまうと今更ながら思った次第。

 

お茶の水女子大学の学生たちはさすがに『新版 きけわだつみのこえ』を読んで自分たちのヌルさに気づいたようで好感が持てる。

当時の学生が田辺元やマルクスを読み引用していることにも驚いていた。

今の学生は読んでないのかい?

福沢諭吉『学問のすゝめ』のあの名言は後の言葉がカットされている

福沢諭吉『学問のすゝめ』といえばおそらく誰もが
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」を思い出す。

でも、書籍では
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」となっている。
断言ではなく、「そう言われているけれど」というふうになっている。

『学問のすゝめ』は最初の方は何度か読んだことがあるけれどこんなことはまったく記憶になかった。
人の記憶力はほんとあてにならない。

キャサリン・サンソム『東京に暮らす』 日本の美が理解できない学生

キャサリン・サンソムの『東京に暮らす』は私は未読。
この『名著講義』でキャサリン・サンソムが日本人の美意識の高さに驚いていることについてお茶の水女子大学の学生曰く。

 

美的なものとしてすぐに思い浮かぶのは華やかな装飾や鮮やかな絵画で、(略)日本の(略)一見してわかるすごさがなく、お金をかけた感じもしません。 p.249

 

「日本人らしさ」を意識したことがないです。(略)昔の日本の良さは誰からも教わらずに育ってしまいました(笑)p.251

 

と無知蒙昧であること恥ずかしげもなく語っています。

藤原正彦が学生に解説していますが、ゴッホ、ゴーギャン、モネなどの

印象派の画家に日本の浮世絵が影響を与えたことも知らないようでした。

 

しまいには「日本の良さを教わらずに育った」と責任転嫁?
日本の侘び寂びや、茶道、華道、書道、香道など知らないのでしょうか?

 

仏像や仏教建築、日本各地の焼き物など。
教えられなくとも目にしているものがあるはずなのにそんなものには関心をもつことなく生きてきたのかも。

 

藤原正彦氏はお茶の水女子大学を退職されているのでその後、

こういう気づきを得ることのないままの学生が公立大学で量産されているのかと思うと日本の未来が心配です。

⇒『名著講義

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