感想・書評

『宗教の現在地』池上彰・佐藤優 角川新書 宗教はなぜ戦争の原因となるのか?わかるようなわからないような

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人々の幸せを願う宗教になぜ暴力がつきまとうのか

キリスト教プロテスタントのカルヴァン派の長老派のクリスチャンである佐藤優氏と無宗教の池上彰氏の対談。

 

キリスト教、イスラム教、仏教等の様々な例を上げて宗教が暴力に結びつく理由を解説しているけれど根本的な説明になっていないような気がする。

もちろん聖典に異教徒を殺してもいいと書いてあるのがそもそもの原因といえばそれまでだけども。

少なくとも仏教は五戒の中に不殺生という殺してはいけないということが入っている。

それでも仏教徒による争いが海外で起こっているのは勝手な解釈をしているからであり仏陀(釈尊)の教えに反している。

他の宗教もしかり。

 

旧約聖書やクルアーンなどには複数の神の言葉が混ざっている。

そのことを無神論者はそもそも理解しているのだろうか?

特に旧約聖書の中には異教徒をジェノサイド(全滅)をするような言葉もある。

普遍的な神様がそのようなことをはたして言うのか?
ここには明らかに民族神的要素がある。

聖典には他にも悪魔の声ではないかというような内容も混在しているけれど、

多くの学者はそもそも神の存在など信じていないしましてや悪魔をや。

 

結局後世の人々は教祖ほどの悟りの高みまで届かないため、

自分の都合のようように理解してしまいそれが争いの元となるのではないか?

 

また、宗教の耐用年数を超えていると思われるものもあり修正が必要であっても原理主義にとらわれていたり、

新しく出現した現象にどのように対処するのが神の心にかなうのかを判断できず常識的な判断や自分の都合で判断してしまう。

 

あらゆる宗教は説かれた時代、説かれた地域の制限を受けている。

だからそれらの条件が変われば内容も修正されなければならない。
そのために新興宗教が存在すると思われるが多くの信仰者は旧来教えに囚われて新しい教えは受け入れられない。

宗教の現在地

佐藤優氏と池上彰氏のトランプ元大統領批判

この『宗教の現在地』の一つの特徴は著者の二人してがアメリカの元大統領のトランプ氏を例に挙げては批判している。

池上 わたしたちにはなかなか見えないアメリカの醜い側面が、トランプに表れている気がします。
佐藤 「醜い」、あるいは「下品」な部分ですね。p.224

 

佐藤 トランプは醜いアメリカ人の姿を、そのまま肉体化しています。p.225

など。

 

佐藤優氏はこの書籍化どこかでトランプ氏と同じ宗派の信仰を持っているので同族嫌悪だと言っていましたが、

それはあるかもしれませんがやはり大統領になる人と外交官、作家という人の違いも大きいのではないかと思います。

 

とにかく事あるごとにお二人はトランプ氏をやり玉に挙げます。

トランプ氏が世界的なベストセラー『積極的考え方の力』の著者であるノーマンビンセントピール氏(牧師)の有名な弟子であることには触れず。

新型コロナ下のアメリカで「祈りの場を無くしてはいけない」と教会の閉鎖に反対したことも触れません。

燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんやということなのか。
まぁ、雀の私には佐藤、池上両氏の考えがわからないのかもしれませんが。

『宗教の現在地』でも佐藤氏は創価学会贔屓

さらに気になるのがあいも変わらず佐藤優氏の創価学会贔屓です。

 

戦時中の国家神道を事実上の国教であったといい、現代の日本で習慣化した神道がまた国教になりかねないと危惧しています。

それを止められるのはプロテスタントと創価学会だと思うとあとがきでわざわざ書いています。

創価学会(日蓮宗系)ほど偏狭で排他的な宗派はないというのに。

 

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